第3回 勝手に生えてくる植物

 庭の管理をする作業の中で一番大変なのは草取りです。特に真夏にやぶ蚊と闘いながらの作業は本当に大変です。しかし、これを手作業にしなければならない理由があるのです。

 庭の一角がこの写真のようになってました。さて、どれを残してどれを抜きますか? 

f:id:tanemaki_garden:20210213091722j:plain

 筒状の芽生えは紫蘭です。濃い緑はミヤコワスレです。両方とも初夏に紫色の花をつけます。細い葉はノビルです。ユリ科のネギの仲間で葉はネギのような香りがしますし球根は小さいがラッキョウのような味がしてビールのつまみになります。しかし、多すぎるのでここは抜きます。他にオランダミミナグサやカタバミなどが見えます。これらは雑草です。無益な殺生が嫌いな私でもこれらは抜くしかありません。この狭い空間に7種類以上の植物が生えています。

 草取りは単純作業なので頭が暇です。こんな作業をAIにやらせたらどうなるだろうと考えたりします。AIは同じか違うかの二択で物を見るのではないでしょうか。つまりAIが雑草を見た場合、対象を細かくファクターに分けて、それぞれのファクターについて記憶している標準タイプと比較して同異を判断して○○%一致しているからこれはXという雑草であると判断するのではないでしょうか。しかし、私は雑草を判断して抜く時にファクター分けして分析するなどしていないと思うのです。記憶の中にある雑草の形と比べて似ているか似ていないかで判断しているような気がします。人間の脳とAIは似ているか似ていないかの判断をするプロセスが違うのではないか。そんなことを考えながら草を抜いています。

 面倒くさければクサカキで搔き取ったりや除草剤を使って雑草を一網打尽にすればよいのです。しかし、そうしないことによっていろいろご褒美があります。

f:id:tanemaki_garden:20210213162150j:plain f:id:tanemaki_garden:20210213162302j:plain

 鳥が落とした種から万両が芽を出しました。それがやがて大きくなって冬には赤い実をつけます。
千両も同様です。千両と万両は除去しなければならないほど勝手にどんどん生えてきます。

f:id:tanemaki_garden:20210213162358j:plain 

  ところで千両と万両は大変クセが強い植物です。千両は剪定すると実がならななくなります。これは2年目の枝に花・実をつける性質でだいたい説明できますが、枝を切ると明らかに実がつかなくなるので、それだけではないような気がします。万両は植え換えるとほとんど枯れます。花屋で鉢植を売っているように栽培している方がおられるので植替えは可能なはずですが、相当丁寧にやらないとできないと思います。私のような不器用は何度も失敗しています。要するに千両と万両は触らずに放置するのが良いということです。 

f:id:tanemaki_garden:20210213163120j:plain 

写真中央の幅の広い葉はエビネです。最初は何株か購入して植えたものですが、庭のあちこちに生えるようになりました。春になると下の写真のように花をつけます。

f:id:tanemaki_garden:20210213163301j:plain

 これは春蘭です。葉だけを見るとイネ科の雑草と間違えそうです。

f:id:tanemaki_garden:20210213163448j:plain

ヒアシンスです。最初は栽培種を植えたと思いますが、繁殖するうちに先祖返りして原種に近い形になったと思われます。種をたくさんつけるのでまだまだ増えそうです。

f:id:tanemaki_garden:20210215161009j:plain

 

f:id:tanemaki_garden:20210215160145j:plain f:id:tanemaki_garden:20210215160614j:plain

 左の写真でピンクの花をつけている木はニワウメ、同じくピンクの花はヒマラヤユキノシタ、白い花はスノードロップです。いずれも植えたものではなく勝手に生えたものです。右の写真では金糸梅と万両が絡まって生えています。いずれも勝手に生えてきたものでこんなにややこしいことをするつもりはありませんでした。勝手に生えた植物を大事に育てるものだから草取りが大変になるのです。

 f:id:tanemaki_garden:20210215161304j:plain 

 ヒガンバナです。冬の間はこのように葉を伸ばし、夏になると枯れて、秋に今度は花だけを咲かせます。この葉を雑草と思って抜いたり枯らしたりするとヒガンバナは絶えてしまいます。先ほどのエビネと同様に葉の形を覚えておかないと大事な草花を抜いてしまうことになります。

 他にも珍客が侵入して来ることがあります。左はツチグリというキノコです。一度だけしか生えてくれませんでした。右はマムシグサです。日陰に生えます。怖い名前ですが毒は無さそうです。

f:id:tanemaki_garden:20210215161852j:plain f:id:tanemaki_garden:20210215162233j:plain

f:id:tanemaki_garden:20210304101612j:plain このキノコの写真を撮ったのは3月はじめです。つまり冬に生えるキノコもあるということです。このような珍客に来てもらうためには落ち葉など放置しておく方がいいようです。

 このような管理をしていると狭い庭に植物の種類が次第に増えてきます。

 蝶や鳥が来るように花も実もある庭を造りたいと始めました。確かに蝶も鳥も来ますが、それよりも毛虫・イモムシが大量に来ました。次回は「虫たちと付き合う」です。