第52回 塩尻にて サクラにウグイス

 塩尻の山中、海抜900mくらいのところに約200坪の土地があります。市街化調整区域で、この規制は当分解消されないとのことで、鳥や蝶が来る場所を目指して草木を植え始めてもう35年くらいになります。冬は寒すぎて作業できないので春になるのを待っていました。桜が満開でした。

 ウグイスがうるさいくらいに鳴いていました。この鳥は木々の高いところに留まるので、声はよく聞くものの姿を見ることは滅多にありません。奇跡的に写真が撮れました。

 写真を撮ろうとして近づくと逃げますが、やがてまた戻ってきます。あのホーホケキョは縄張り宣言らしい。遠くからも別のホーホケキョが聞こえます。花に来る蜂などの昆虫ねらっているらしい。手前の枝がジャマですが、確かに蜂らしきものをくわえています。

 まぐれ当たりをねらってシャッターを切りまくりました。とても地味な鳥です。

 

 ウグイスは我家の近くでも鳴いています。しかし、写真どころか姿を見るのは、多分生まれて初めてです。幸運でした。

 なお、ウグイスがとまっているのは桜ではなくプルーンです。このブログの元々のテーマである「種から育てる」を実行したもので、今では脚立などでは届かない大木になりました。実も生りますが届かないので収穫できません。しかし、この土地を「蝶や鳥が来る場所にすること」には役立ってくれています。

 他にも種から育てた桜の仲間が満開でした。これはヤマザクラ吉野桜の仲間だと思います。

 これは大島桜の種から育てたもの。しかし、葉に大島桜特有の桜餅の香りがありません。種から育てたので交配により香りの遺伝子が抜け落ちたか不活化したようです。ヤマザクラとは開花時期が微妙に違います。

 これは「おかめ桜」の種から育てたもの。関東平野では早咲きの品種ですが、寒冷地ではヤマザクラと開花時期が同じになってしまいます。花の形はおかめ桜をしっかり遺伝しています。なお、この場所ではソメイヨシノヤマザクラも開花時期がほぼ同じになります。北国では春が一気に来ます。

 これはハナモモです。中山道木曽路を歩いていた時、ハナモモの並木があったのでその根元から拾ってきた種が発芽したものです。平野部ではハナモモは桜より早く咲きますが、ここではほぼ同時になります。

 これもハナモモです。近所の公園から拾ってきたもの。苗木を抜いてくるのは犯罪ですが、落ちている種を拾ってくるのは許されると思っています。ただし、国立公園や自然保護区では種を拾うのもNGです。

 これは桜の仲間ではなくコブシです。近所の公園から種を拾ってきたもので、2年ほど前から花が咲き始めました。

 ヤマブキです。この土地に合っているようで藪のようになってしまいました。これは種ではなく株分けで植えたものです。蜂が好んで集まってきます。蜜源植物としては一重咲きが良いようです。と言うよりも八重咲きの花は花粉も蜜も作らない場合が多いので蝶や蜂の役には立ちません。

 樹木に肥料をやるために溝を掘り、ついでに我が家で増えすぎた水仙の球根を植えたところ2年目でようやく落ち着いてきました。黄色のラッパ水仙と白は口紅水仙です。口紅水仙は長い間に先祖返りしたらしく、口紅の赤が無くなってしまいました。これらは遅咲きの品種です。平野部で正月過ぎに咲く早咲きの品種はこの場所では寒すぎて無理のようです。

 この水仙は私が庭づくりを始める前からここにあったものです。おそらく最初は球根1個だったものが、大きな株になったのと思われます。これでは窮屈なので花が終わったら掘り上げて株分けするつもりです。夏を過ぎると地上部が完全に消えてどこにあったかわからなくなります。

 しかし、このブログの表題になっている「さくらんぼ」は何回か試みていますが、全て枯れました。発芽はさせることができますが、地植えして2年くらいでなぜか枯れます。おととし発芽させたブラックチェリーも40~50cmになるまで鉢植えで育ててここに植えましたが、冬越し出来ませんでした。もともと地下部が弱くて生き延びるには接ぎ木が必要ではないかと推定しています。ご覧のように桜もハナモモもコブシも、さらにヒメリンゴホウノキユリノキトチノキ、バラなども種から育ててまだ生きているのにサクランボがうまく行きません。