第29回 遍路道の植物 愛媛県にて

 11月 2日から9日まで愛媛県にお遍路の旅に出ておりました。残念ながら新型コロナ感染というお土産を背負ってきてしまい現在隔離期間中です。これがなければ最高の旅でした。そこで出会った植物をご紹介します。

 ウラジロ 四国に多いシダ類です。山中の道ではこの葉をかき分けながら進むことがしばしばあります。その名の通り、葉の裏が白い。お正月のお供えの飾りに使います。

 

 ハゼノキ 四国には紅葉する樹が少ないので貴重な赤です。この種を採って育ててみたことがあります。樹木の種には珍しく、休眠を必要とせずすぐ発芽してきました。しかし、翌春 塩尻に持って行って移植したところ、冬越しできずに凍死しました。寒冷地では生存できないようです。関東では大木になっているものを見かけます。カブレの成分を含みますが、公園や学校でも見かけるのでたいしたことはないようです。私もカブレませんでした。

 

 イブキビャクシン 46番 浄瑠璃寺にある空海お手植えで樹齢1000年と言われる霊木です。

 ヤブコウジ 十両の別名があります。千両、万両との関連でしょう。森を抜ける道の道端によく生えています。このままで盆栽になりそうです。

       

 ヤブコウジの種を採取して育ててみました。発芽率が悪く苦労しましたが何とか大きくなりました。しかし、大きくなりすぎです。なお、この種は遍路道ではなく高尾の森林科学園の山林のものです。この鉢には3株植わっています。リスクありますが株分けしてみます。万両などは移植すると枯れてしまうことが多々ありますので。

 45番 岩屋寺に行く途中の道端にとても鮮やかな紫色の菊を見つけました。少し離れてていますが、同じ道端に黄色の菊がありました。おそらく、どこかの庭から逃げ出した園芸種だと思います。しかし、周りに民家は無く、どうやって飛んできたかわかりません。この紫色は欲しい感じです。

 

カエデ 先ほど四国には紅葉する樹が少ないと書きましたが、もちろん植樹すればあります。45番 岩屋寺へ行く途中にある古岩屋(ふるいわや)という奇景です。礫岩という岩を河川が侵食した風景です。そこに植えられたカエデが見事に紅葉していました。カエデの種類は150種もあるそうなので、種類までは特定できません。

 

 ユキノシタ 60番 横峰寺の石垣にびっしり生えていました。

 フユイチゴ 久万(くま)高原から46番 浄瑠璃寺へ降りる山中で見ました。暖地の山中に自生する植物です。この実は食べられるそうです。

 サネカズラ 四国の山林でよく見かけるつる性植物です。まだ未熟なのでくすんだ色をしていますが、熟すと本当に鮮やかな赤色になります。この実に毒は無いが何の味もしないと文献にはあります。左は11/5に現地で、右は11/16に我が家で撮影したものです。我が家のものは2019年の1回目のお遍路の時に採取した種から育てました。

  

  11月なのに桜の花を3か所で見ました。左は49番 浄土寺、右は65番 三角寺で咲いていたものです。こうして見ると明らかに品種が違います。

 

シュウカイドウ 44番 大寶寺(たいほうじ)の地蔵堂に咲いていました。日陰で旺盛に繁殖して雑草化して困る植物ですが、ここでは可憐に咲いていました。

 コウヤボウキ 61番 香園寺へ降りる坂道で道路横の斜面から垂れ下がるように咲いていました。

左はツリガネニンジン、右はマルバルコウ 今治郊外に咲いていました。

 

 コセンダングサ 遍路道でたくさん見かけ、しかも厄介なのは、愛嬌も何もない雑草、センダングサの仲間だと思います。この種が衣類にくっついて運ばれて繁殖します。さっと掃ったくらいでは落ちません。一粒一粒つまんで捨てます。

 

 ノアサガオ 外来種かと思ったら沖縄原産だそうです。アサガオと言っても小学生の夏休みの宿題に使う可憐な植物とは全く別種で強大な植物です。花も朝だけではなく1日中萎れずに咲いています。多年生です。ネットで見ると宿根アサガオの育て方などがありますので、人間が広げる可能性はあります。個体数が少なくても大きく広がるので雑草としてはクズやヤブカラシに匹敵する強害草です。幸い種を作らないので生育地域が急に広がることは無いでしょうが、万が一 種を作る系統が現れたら大変厄介なことになります。

 

 ランタナ あちこちで雑草化していました。ブローチのような可愛い花をつけますが、たくさんありすぎるので、有難味がありません。

 

キノコ 私の旅行期間を含めて2~3週間降雨が無かったのでキノコはほとんど見ませんでいた。これは最終日 65番三角寺から降りる道をふさいでいた倒木に生えていたものです。2種類生えています。乾燥してひび割れてしまっています。

 遍路道を歩いていて感動するのはゴミがほとんど落ちていないことです。そんな何でもないことに感動したり驚いたりしながら旅をしてきました。できれば来月 香川県に行きたいと思っていますが、コロナからの回復次第です。写真は42番佛木(ブツキ)寺から43番明石(アケイシ)寺に向かう歯長(ハナガ)峠です。かっては伊予~土佐を結ぶ幹線道路だったそうです。

旅行記は別ブログにまとめました。

旅を歩く (hatenadiary.jp)