番外:49年前のワインを飲んでみた

 フランスには「男の子が生まれたらワインを買い、その子が成人したらそのワインを開けて乾杯する」と言う風習があるそうです。私も息子が生まれた時にやってみました。そこそこ高めのブルゴーニュ・ワインを3本買い床下に寝かしておきました。2~3年後に試しに一本開けてみましたが、変質して失敗でした。気温30℃を越える日本の夏にはワインは劣化します。結局 息子の成人を待たずに飲んでしまいました。ワインを長期間保存するのは並大抵のことではありません。

 私は「ワインが好きだ」と周りの人に思われていました。確かに好きなのですが、ワインをおいしく飲むのは大変めんどくさい準備が必要になります。ワインは食中酒として発達して来たので食べ物との相性があります。この話は長くなるのでこのくらいにしておきます。

 私が引退した時、仲間が「ワイン好き」の私にプレゼントをくれました。私が入社した1975年に製造されたワインです。大変貴重なものです。晩酌で飲んでしまう訳にも行かず、このワインは冷蔵庫に寝かせておりました。

 

 先日 私が勤めていた会社の同部署の同期6人が集まりました。つまり入社年が同じ1975年なので、このワインを開ける絶好の機会でした。料理は中華だったので赤ワインとの相性は良くなかったのですが、この機を逃すとしばらくはこんなチャンスはありません。

 コルクがオガクズの塊のようになっていて、ワインオープナーが効きません。仕方なく、栓を押し込みました。Vintage Wineを開ける時はガーゼでろ過する用意をするべきでした。

  若干変色していましたが、これはしょうがない。香りが強く離れた席まで漂いました。味は酸味や刺激性が柔らかくなっていて、しかもタンニンの苦みはしっかり残っていてよくバランスが取れていました。49年間この品質を保てたのは奇跡だと思いました。

 Vintage Wineを飲んだのはこれが初めてでした。教訓がいくつかありましたので、お伝えした次第です。