第4回 虫たちと付き合う

 バラの花の中に虫たちの世界ができています。

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 クマンバチが来襲して虫たちを蹴散らしてしまいました。

 f:id:tanemaki_garden:20210304091456j:plain コガネムシ(たぶんヒラタアオコガネムシ)がヒマワリのめしべをむさぼり食っています。こうなると害虫です。

 これを面白いと見るか気持ち悪いと思うかで園芸の楽しみ方が変わってきます。私はできるだけ楽しみたいのですが、やむを得ず虫たちを排除しなければならない場合もあります。それは次回にご説明します。 

 最近はスズメバチと見ると退治しなければならないという風潮です。確かに外来種のキイロスズメバチなどは攻撃性が高く人家の周囲に巣があるのは危険でしょう。しかし、スズメバチは本来は肉食性で虫を食べて生きていますので主に害虫を減らすのに役立っています。森の中にひっそりと暮らすスズメバチまで追っかけて行って殺す必要はないと思います。下の写真はコガタスズメバチが巣を作り始めたところです。コガタスズメバチはおとなしい種族なので巣をいじったりしなければ攻撃してきません。
 スズメバチは女王蜂のみが冬を越します。そして春にたった一匹で巣作りを始め夏が過ぎるころには数百匹のコロニーを作ります。そして冬が来るとオス蜂もハタラキ蜂も死に絶えて女王蜂はまた一匹だけで冬を越すという中々に壮絶な生活環を持っています。

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 先ほどのトックリ型の巣が夏にはボール型に成長します。さすがに近寄れないので巣の周りは草ぼうぼうになってしまいましたが仕方がない。この蜂がいた年はお陰様で害虫が少なくて済みました。また来て欲しいのですがわが庭に住み着いたのは1年だけでした。なお、この巣は1年だけの使い捨てです。

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 梅にはアブラムシの防除が必須です。5月中旬から7月上旬まで油断すると新葉、新芽がアブラムシの塊になってしまい、葉はすべて縮れてしまいます。歴史的名園の梅に縮れている葉を見たことがありません。開園前に殺虫剤散布を何度か行っているはずです。テントウムシが食べてくれますが追いつきません。この写真に3匹のテントウムシが写っています。模様が全然違いますが種類は同じナミテントウです。テントウムシを保護するために殺虫剤をまくのはあきらめました。アブラムシで木の形は不恰好になりますが枯れることは通常はありません。

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 11月中旬 もうすぐ霜が降りる頃 野の花もほとんど無いので残った菊の花に蝶が群がってきます。秋の蝶は俳句の季語ですが、寂しげな句が多いです。

      行く秋の日差しを求め秋の蝶 小川玉泉

 ここ数年 蜜蜂の減少が大きな話題になっています。殺虫剤、特にネオニコチノイド系殺虫剤の影響が疑われています。確かに強力に効くので蜂にかからないように、開花期には散布しない、蜂は午前中に活動するので散布を午後にするとか、蜂を殺さない工夫は必要と思います。しかし、蜂の減少の大きな原因は蜜源植物が明らかに減少していることであるとの説の方が有力であると私は考えています。微力ながら蜜源になるような植物をせっせと植えています。私が見たところ白や黄色の花に寄って来る傾向があるように思われますが、どうでしょうか?この白い花は最近 雑草地に増えてきた野ばらです。トゲが多いため駆除しようとすると手間のかかる雑木です。しかし、蜂が好んで寄ってくる傾向があり、保護したいのですが手が傷だらけになる。

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 私の庭では落ち葉の大部分は放置しています。しかし、いつの間にか無くなります。ダンゴムシ、ナメクジ、ミミズなどが食べてしまうからです。落ち葉はゴミではありません。

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 上の写真は植木鉢をどけたところです。ダンゴムシがあわてて逃げようとしています。ナメクジもいます。彼らは落ち葉だけではなく、生きた植物も食べることがあるので害虫とみなされることもありますが、貴重な掃除屋でもあります。これらの虫が嫌いな方は、本稿の自己流園芸術には残念ながら向いていません。

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 この写真はツゲがメイガの幼虫に食べられて葉がなくなってしまったところです。真夏に1週間油断しただけでこの被害です。常緑樹なのでなかなか葉が再生しません。こうなると復活するのに2年くらいかかります。この虫は毎年は発生しません。真夏から初秋にかけて突発的に出るので油断してはいけません。次回は害虫防除の話です。

 私は虫には詳しくないので昆虫名が不正確であることはご容赦ください。