第1回 さくらんぼの種を発芽させる方法

 さくらんぼを食べた後、残った種を見て植えてみようかなと思ったことのある方はおられますか?これはそんな生き物に興味をお持ちの方に読んで頂きたいブログです。

 

この方法で本当にさくらんぼの苗ができます。最初にお断りいたしますが、これは私の発明ではありません。原典が思い出せませんが、他からの引用です。

手順1 さくらんぼを食べて種を出します。果皮と果肉には発芽を阻害する物質が含まれているそうですので、これを除去します。種を水に漬けるなどの前処理は必要ありません。

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手順2 種を土にまいて、種の大きさと同じくらいの厚みに土をかぶせます。植木鉢がいいでしょう。育苗トレイは土の量が少ないので水管理が難しい。4寸鉢(内径12cm)に7~8粒とちょっと密になるくらいが丁度いい。

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手順3 鉢を日陰において春まで乾かないようにします。乾燥すると種は死んでしまいます。水没しても死にます。さくらんぼの場合、6月から翌年3月まで9ヵ月も辛抱しなければなりません。週に1度は何も生えていない植木鉢に水をやります。難しくはありませんが、根気が要ります。

手順4 3月頃 暖かくなってきたら日の当たるところへ鉢を移動します。そうすると発芽してきます。発芽率は30%くらいですが、中には具合の悪い種もあるので、6月になっても出芽しなかったらあきらめてください。写真はたまたまさくらんぼの写真がなかったので、桜の種が発芽したところです。いろいろな樹木の種をこの方法で発芽させることができます。

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 外で越冬させるよりも種子を冷蔵庫で低温処理すればいいではないかと思われる方がおられるかもしれません。しかし、冷蔵庫では温度管理はできますが、湿度管理が案外難しい。また酸素を遮断すると種が窒息して死んでしまうので密閉はできません。結局 一般のアマチュアの方は自然に近い方法の方が間違いがないと思います。要するに、自然状態では鳥が果実を食べ、種子は糞と一緒に地面に落ちて翌春発芽します。それを人工的に行うのです。

手順5 5~6月頃 苗がしっかりして来たら、1本づつ別の鉢に移植します。日当たりのよいところで育てます。

手順6 翌年3~4月に地面に移植します。種をまいてから約2年後になります。この方法は費用も技術も要りません。ただただ時間がかかります。鉢植えは不可能ではありませんが難しいと思います。樹木は大きくなるということを想定して植えてください。隣の木までは2.5m以上は必要と思います。

 注意事項が2つ。

 1, 種から生えたさくらんぼの品種は元の品種とは異なります。親と子は似ているけど別人であることと理屈は同じです。同じ品種、例えば佐藤錦、の苗を作りたければ、接木や挿木でクローンを作るしかありません。しかし、ここに生えてきた品種は世界に一つだけの品種です。

 2, 実はこの方法で何回か試みましたが、地面に移植してから3~5年で全て枯死しました。土壌、気候が合わないことが原因かもしれませんが、品種改良を重ねて劣勢遺伝子が蓄積していて虚弱になっているのではないかと思っています。特に根部が弱く、台木に接木しないと大きく育たないのではないかと推測しています。

  次回から私の経験から得た園芸ノウハウをご紹介します。面白いと思って頂ければ大変うれしいです。第2回はいろいろな樹木の発芽事例です。

 

  この記事には6月になっても発芽しなかったらあきらめてくださいと書きました。しかし、これは桜やサクランボの場合でして、もっと時間がかかる植物もあります。私も驚いたのですが、スイフヨウが7月後半に発芽しました。片付けないで放置していたのが良かったのです。この仕事はある程度ずぼらな方がいいみたいです。