遺言を書きました

 おととし父が100歳で亡くなり、私も70歳になったので遺言を書くことにしました。そして某信託銀行に遺言信託を頼むことにしました。この制度は遺言の書き方に助言してくれ、遺言を保管してくれて、私の死後 財産の相続を手伝ってくれます。父も遺言信託をしてくれていましたので、相続手続きが大変楽でした。その代わり契約時の手付金、毎年数千円の遺言保管料、財産分与時に財産×〇〇%の執行手数料を取られます。私の子供たちは私が少し年齢が高くなってから生まれたので、おそらく私が死ぬ時は子供たちはまだ現役の可能性が高く、仕事をしながらの相続作業は大変過ぎるので、この程度のお金は使ってもいいと考えました。

  私の原案に基づいて銀行担当者が作ってきたのは「遺言公正証書」という私の原稿とは似ても似つかない、契約文か法律文のような文章でした。この方が誤解の余地は無いのでしょう。私が考えた財産分与は少し変わっています。

 妻  (家・土地)+金融資産×1/3

 子供A 金融資産×1/3

 子供B 金融資産×1/3

 相続税の算定基準になる不動産の価値は市場価格ではありません。極端な例が家屋の価値です。何年もたっている家屋は売れないので、解体して更地にして土地を売るしかありません。つまり実際には家屋はマイナスの資産なのです。それをプラスの価値があることにして税金を取るのは税務署の理屈です。しかし、不動産は住むことができるという数値にはできない価値があります。「数値にできない価値」がある不動産と「数値にできる」金融資産を合算して配分することには無理があると思いました。

 私の遺言には葬式や仏壇やお墓については費用も3等分にすることしか書いてありません。葬式をやるやらないも含めて、これらのことは残った人たちが決めれば良いことで、私が指示を出すべきではないと考えました。葬式やお墓は死んだ人のためではなく生きている人たちのためにあるのです。

 さらに家や家財及び私が育てた庭の植物は処分して新しい生活に踏み出しても良いと書きました。私の家族は「捨てられない症候群」なので、私がいなくなればこの家はジャングル付きゴミ屋敷になるおそれが充分にあります。むしろ捨てることを奨励する必要があると考えました。

 正月に家族会議をやり、1月中旬に某信託銀行と相談を開始し、文言についてのやり取りを経て、公証役場にて遺言公正証書に調印できたのは5月1日でした。費用は

 公証役場手数料   約10万円

 証人御礼(2人分)  5000円×2

 証人は公証役場が手配してくれた方々でした。

 それに遺言信託の手数料がかかりました。

 楽しい連休のしょっぱなに皆様にとっては暗い話で申し訳ない。私は心が軽くなりました。