第44回 信州の高原にて 夏の終わり

 関東の平野部では相変わらず35℃を越える猛暑が続いていますが、信州塩尻の高原は30℃そこそこで、それでも涼しく感じます。しかし、直射日光は強烈で木陰から出たくない。コオロギが鳴いていました。

 ウバユリは、案の定 花は終わっていて大きな実をつけていました。夏水仙も終わっていました。と言うわけで今回は写真のネタになるようなものが無い地味な回です。

  

  私が管理している土地のすぐそばを旧中山道が通っています。こんな細い道を大名行列も皇女和宮新選組も通りました。日本は馬車が発達せず、旅人は徒歩か籠を使っていました。従って、幹線道路でも広くする必要が無かったのです。(西洋は馬車を前提として道が作られたので、古い道がそのまま自動車の道として使えました。これは大きな違いです。)

 道端に石のキノコのような人工物があります。笹や近くの畑から侵入してきたミョウガに囲まれてほとんどの人は気がつかず通り過ぎるでしょう。

 これはたぶん小型の灯篭ではないかと思います。江戸時代の旅人をずっと見続けていたのでしょう。こんなところにも歴史の臭いがするので旧街道は面白い。

 種を明かすと、この樹林の真上には高圧線があって家が建てられません。そのため自然が残っているのです。たぶん高圧線が存在する限り、この場所は手つかずで残ると思います。

 下の写真は2013年4月に撮ったものです。道は旧中山道、白い山は穂高連峰です。今はこの畑は太陽電池で埋まっています。先ほどの樹林を抜けると現代に呼び戻されるわけです。