第24回 博物館の楽しみ

 今回は植物にも園芸にも関係ありません。

 引退してから時々上野の国立博物館や科学博物館あるいは佐倉の歴史民俗博物館に出かけることが多くなりました。平日に行けるのでゆっくり見れます。今日 チベット仏教展を見てきました。特別展だと追加料金を取られますが、これは企画展なので一般料金の千円だけです。さらに70歳以上は無料です。

 2部屋しか使わない小規模な展示でしたが、内容は濃かったです。この写真は15~16世紀に作られた男女の仏が新しい仏を産み出そうとしている像で、チベット現地には普通にある仏像だそうです。この展示でもこのタイプの仏像は2体(4体?)ありました。人間にとって重要な営みを偶像化しているわけで、これを隠そうとする文化の方がおかしいのかもしれません。すごいのは男仏が女仏を抱きながら邪鬼を踏みつけていることで、営みをしながらこれだけの戦闘力を発揮するのはゴルゴ13にもジェームズ・ボンドでも無理です。他の絡み仏1体も同様に邪鬼と戦いつつ絡んでいて、人間を超越していることを示していると思います。なお、一般的には生き物は合体中は無防備になるので隠れて営むのが普通です。残念ながらこの展示は9月19日で終了です。

 じっくり見ても30分ほどで出口に来てしまうので、向いの考古学の部屋に入ってみました。縄文時代の傑作がたくさんありました。写真は3000年前に作られた遮光器土偶の本物です。人間か宇宙人かと何かと話題になるものです。縄文時代は1万年も続いたそうです。これだけの期間があれば独自の文化が発達してもおかしくないでしょう。

 この写真は昨年の2月にあったエジブトの文物の展示です。ドイツが手あたり次第に略奪してきたものを並べたもので、展示物が脈絡なく並んでいました。残念ながらこの展示はもう終了しています。

 下の写真は太陽神の化身であるスカラベが太陽を運んでいるところ。後ろ足で太陽を抱えています。この想像力がすごい。

  この石板は扉の形をしていて、このむこうには冥界への入り口があるそうです。これがもし開いたら大変です。紀元前2000年頃(今から4000年前!!)のものだそうです。こういうオカルト物は大好きです。

 写真はありませんが近年の特別展では縄文時代展(無傷の火炎式土器など国宝級の縄文土器が集められた)、兵馬俑(中国から本物を10体くらい運んできた)が印象に残っています。三国志展にも行きましたが、中身が薄くてほとんど空振りでした。しかし、アニメやゲームで三国志に詳しくなったと思われる若者がたくさんいて、彼らは登場人物をよく知っていて、例えば曹操の息子まで知っていて、彼らのマニアックな会話が面白かった。

 今後も日本の博物館の企画展には要注意です。