第53回 白紋羽病らしき症状が出ました

 10年以上育ててきたムラサキシキブが枯れそうです。

 

 根元に白い菌糸がべったり張り付いていました。

 書物にある白紋羽病の症状に似ています。ただし、私の技術と設備では菌の同定はできませんので、弱った樹に取り付いた単なる腐生菌の可能性もあります。
 粗大有機物、未熟な腐葉土を多く施用すると発生が増えるそうです。この場所は元々はネマガリタケの竹やぶで、それをラウンドアップの注入処理で枯らして開墾したところです。従って、粗大有機物は大量にあります。また、月1回しか来れないので草取りが不十分で木の根元が雑草に埋もれていました。それも良くなかったらしい。

 この病気は果樹も枯らすので、文献には殺菌剤ベンレートの土壌潅注とかクロルピクリンの土壌くん蒸とか60℃以上で滅菌できるので温水潅注するなど推奨されていますが素人には無理ですし、玄人でも難しいと思います。しかし、「対策はありません」とは言えない行政の農業指導者の立場を考えれば、彼らを非難するつもりはありません。
 ムラサキシキブは秋に紫色の小粒の実がなります。これを小鳥が好んで食べるので育てたい樹ではあります。しかし、残念ですが、この樹はあきらめるしかありません。幸い2mくらい離れたところに実生が生えていました。これを大事に育てるつもりです。

 

 厄介な事に白紋羽病菌(Rosellinia Necatrix Prillieax)は多犯性でほとんどすべての樹種に寄生しいったん病原菌が持ち込まれると防除困難だそうです。おそらく森林には普通に生息している菌ではないかと思います。植物にも生存競争があって、このような障害を乗り越えて行かないと生き延びることはできないのでしょう。

 対策は植物を頑健に育てることだそうです。とりあえずは樹が雑草に埋もれないようにせっせと草取りをします。