第18回 樹は大きくなります

 旅先で種を拾って育てることを始めてから30年以上たちました。当然というか予想通りのはずですが、最初の頃 植えたものが今は大木になっています。

 この樹はメタセコイアです。北の丸公園に落ちていた種から育てました。発芽時の写真が無くて残念です。この写真は2010年のものですが、移植してから既に2~3年たっていますので、播種したのは2005年頃と思われます。この時は高さ1mくらいです。

それが今や10m近くになっています。秋の紅葉(黄葉)が見事です。

 この濃緑色の樹は五葉松です。おそらくチョウセンゴヨウと思われます。これは種ではなく、北海道の十勝の道端に生えていた小さな苗を鞄に入れて持ち帰ったものです。植えてから35年程度たっているはずです。この場所は高地なのでマツノザイセンチュウの拡大は遅れていますが、それでも最近になって赤松が次々と枯れています。チョウセンゴヨウは赤松や黒松よりはマツノザイセンチュウに強いらしいのですが、完全には耐性ではないそうです。もし枯れた場合はプロの手を借りないと切り倒すのは難しいと思います。クレーンで吊っておいて切り倒さないと倒れる方向次第では電線を切ったりして危ないでしょう。

 五葉松は巨大な松ぼっくりを作り、その中に大きな種が入っています。食用になるそうです。繁殖も難しくなさそうなので、もしマツノザイセンチュウに強いことが確認できれば防風林などの利用もできるのではないでしょうか。

(もちろん樹木の種なので、草花のように蒔いてすぐ発芽するものではありません。秋に種を蒔くと翌春に発芽してきます。サクランボなどと同じです。)

 これは桜の木です。20年以上たっていると思います。ソメイヨシノではなくて開花の遅い吉野桜らしい樹から種を取っています。しかし、種から育てているので先祖返りして原種のヤマザクラに近くなっているはずです。

 桜が発芽している写真です。この苗を地面に植える時に大木となった時のことを想像しなければいけません。(なお、この桜の苗は上の写真の大木とは個体も種類も違います。東京の広尾にあった変わった桜の種から育てています。品種名ではありません。)

 樹は大きくなります。くれぐれも場所を考えて育てないと大変なことになります。昨年 亡き父が植えたコウヤマキを植木屋さんに頼んで切り倒しました。これ以上大きくなった場合、もし台風などで倒れると我家か隣家か家屋を壊す可能性がありました。下の写真は切り倒してから1年半くらいたった切り株です。おがくずがあるのはアリの巣です。

 十文字の切込みは植木屋さんがつけたものです。彼らの大木に対する敬意の表現です。

 育つと手に負えなくなることがある。動物も植物も同じです。