番外:60年間の引きこもり

 先週 近所に救急車が来ました。高齢者が多い地域ですので珍しくありません。しかし、運ばれた方の状況を聞くととても極端な事例でした。

 その方は80歳。症状は体の痛みで、聞くところによると栄養失調による重症の骨粗しょう症だそうです。親が建てた家に兄弟で住んでいましたが、最近弟が亡くなり、一人暮らしでした。結婚はしたことがなく家族はいません。遠方に親族がいますがほとんど連絡が無いようです。高校卒業後数年働いたことがあるだけでずっと無職でした。要するに60年間世間とは隔絶した引きこもりを続けてきた人物です。

 親の資産と弟の年金で生活費を賄っていたようです。しかし、職業についていなかったので、自身の年金はわずかで生活費にはとても足りません。本人はプライドが高く生活保護は拒否していました。

 それでも民生委員が奔走し、後見人制度を使って彼を助けました。後見人が借金して生活費を賄い、本人の死後 固定資産を売却して返済する仕組みです。生活保護を拒否された場合の最後の手段と思います。本来の後見人制度は家庭裁判所が監視していて信頼できます。しかし、特殊詐欺の材料になりそうで、家族も友人もいない場合はやはり本人はある程度しっかりしている必要があると思います。

 感想は二つ

 生活力の無い人でも生きていける仕組みがある日本はいい国だと思いました。

 本人が選んだこととはいえ、60年間 孤独な時間を過ごしたこの人の人生はどうなんだろう。

 暗い話題で申し訳ない。